悲しい仕事納め

2000/12/27

 今朝の授業が終わったあと、突然ストライキになった。ストライキというより暴動なのだが、原因はあるインド人映画俳優の発言にある。「私は、ネパールとネパール人が大嫌いだ」というようなものなのだが、これだけではべつになんてことないように思う。
 しかし、インド人映画俳優によるこういった発言はこれまで、数え切れないほど繰り返されてきた。なかには「ネパールはインドのものだ」などといったものまである。
 おそらくこれまでの不満が爆発したのだろう。インド映画は、ネパールでは特に好まれている。土曜日の昼はテレビで映画をみるのが、習慣になってさえいる。その中に出てくるヒーロー、ヒロインたちがひどい発言をするのである。ばかばかしい事かもしれないが、やはりショックを受け、怒りを覚えるだろう。
 ネパールはかつて、世界で1番平和な国だと言われたことがあるくらいで、温和な国民性だと僕も思う。だがそんな人々が、インド人の家の窓ガラスを割ったり、車に火をつけたり、インド人を襲撃したりするのだ。昨日も学生が4人、警官隊に射殺されたそうだ。学校の前の道でも方々で火の手が上がっていた。やはりインド人に対するネパール人の感情は、日ごとに悪くなっていくようだ。
 しかし、今は仕事でこの学校を休んでいるが、サンジャイさんという学生はインド人だ。彼は、他のネパール人の学生ともなかがよかったし、9月に学校からラフテイングに行った時も、1番に参加を決めたぐらいだった。みんなも彼に好感を持っていた。
 1番よくないのは、インド人に対する偏見を持ってしまうことだ。今回の事で、サンジャイさんのような人にまで危害が加えられたとしたら悲しい事だし、そもそもネパールに住んでいるインド人には初めから何の罪もないのだ。おそらく、ネパール人もそのことをわかっていると思いたい。ただ、不満のはけ口がほしかったのだと思う。
 今は静かだが、明日もストライキだという。銃声も今は聞こえない。思いもよらぬ形での仕事納めとなってしまった。


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