Q1:「ネットワークHITO」の「HITO」って何の略ですか?
A1:Human InteracTion Operations の略で“人間交流”という意味です。
「海外ボランティア」「海外支援活動」という言葉を聞いたとき、多くの人は先進国側から途上国側への一方向的な「援助」をイメージするようです。しかし我々は、そのような活動は先進国側の驕り・自己満足でしかなく、また途上国側の自立を阻み、一部の「たかり体質(不適切な表現かもしれませんが)」の温床になっていると考えます。
我々は「与える側」から「受け取る側」への一方向的な援助ではなく、援助を通してお互いが学び合える、お互いに顔の見える、心と心の通い合った、そんな活動を模索しています。
ミャンマーの学校を開校する時に、そういった人と人との心の交流が行える、お互いの「学び」の中心地にしていこう、そんな思いをこめてHITOセンターと名づけました。
現在は「HITOセンター」は学校名として使用し、その日本側支援団体を「ネットワークHITO」と呼んでいます。
Q2:たくさんの国がある中で、なぜミャンマーとネパールから始めたのですか?
A2:大阪YMCAのツアーでたまたまミャンマーを訪れた数名がミャンマーでの活動を始めました。ちょうど現地に手ごろな建物とニーズがありましたので、ミャンマーに「HITOセンター」を設立たのです。また、その頃ネパールからの留学生だったキラン氏(現やさしさ日本語学校校長)から、同様の趣旨で日本語学校をネパールにも設立したいと申し出があり、「グループやさしさ」がネパールで支援活動を始めました。
当初はミャンマーとネパールは別々の団体が支援していましたが、活動の趣旨がほぼ一致していること、何名かが両方の活動に参加していたことなどから、1999年4月に「ネットワークHITO」として合併しました。
始まりはミャンマーとネパールですが、2カ国にとどまらず、多くの国で同様の活動を行う予定です。
Q3:現地の学生はどういう人が多いのですか?
A3:ミャンマーとネパールでは文化も風習も違うので学校に来る学生も違います。
以前はミャンマーでは女性の割合が高かったのですが最近では男性の学生も増えてきました。
反対にネパールでは男性の割合が高く、女性の数はまだまだ少数です。どちらも若い学生が多いのですが高齢の方も在籍しています。
両国ともに貧富の差が激しいので、比較的裕福な家庭出身の方が多いようですが、学校側としては奨学金制度等を設けて幅広く学生を支援しています。
Q4:現地の学生は授業料を払っているのですか?
A4:学生は現地の通貨で授業料を払っています。
ネットワークHITOは最終的には、現地で学校が自立して運営する事を目指しています。その為には学校自体が現地の人に受け入れられ、なおかつ長期にわたって学校が存続するよう、経済的に自立する必要があります。学校を運営し、持続するのはあくまで現地の人たちなのです。ネットワークHITOはその為の地盤を現地に築き上げる事を当面の目標としています。
ネットワークHITOの活動が真に現地に必要な活動であるなら、現地社会に自然な形で受け入れられると我々は考えているからです。
Q5:学校の運営資金は日本側からの支援だけでしょうか?
A5:日本側からの支援だけではなく、現地での授業料が重要な運営資金源です。(Q4参照)
ネットワークHITOの目的は、現地と日本が相互に協力しあえる関係を築く事であって、日本側からの一方的な支援ではありません。ネットワークHITOは一方的で自己満足的なボランティアではなく、お互いに学び合える活動を基本理念としています。そのためにも一方的な援助の形で終わるのではなく、現地の学校が経済的に独立し、現地社会に真に根ざしていく様、ネットワークHITOでは「直接的に経済支援を行なうのは数年間」等のリミットを設定しているのです。
Q6:ネットワークHITOの会員になりたいのですがどうしたらいいですか?
A6:まずはご連絡ください。ご入会されるのであれば、その前に一度実際にミーティングに参加される事をお勧めします。実際にミーティングに参加していただき、直接ネットワークHITOの活動を見ていただき、真に我々の活動に賛同いただくことが出来れば、それがベストだと思います。ミーティングの日時や場所などの詳細は掲示板で連絡しております。当ホームページにも入会の案内がございますので、メールまたは電話・郵便等でご連絡ください。ご入会いただくと、機関紙である“HITO通信”をお届けします。 また、ご入会いただかなくても寄付のみのご協力も受け付けています。賛同される方はぜひご協力ください。
Q7:どういう人が現地に赴任するのですか?また資格とかは必要ですか?
A7:特に必要な資格はありません。しかし、現地で実際に学生に教えるわけですから、日本語教育のレクチャーを受けた者が赴任する事が原則となっています。
中途半端な知識で赴任したり、学生が間違った知識をもってしまったりしては大変ですので、責任感・自覚のない方では逆に現地の迷惑になります。学生は真剣に学ぼうとしているわけですから、面接等で不適当と判断した場合はお断りしています。
Q8:日本語教師になりたいのですが、現地でそのまま就職してずっと働き続ける事は可能ですか?
A8:少なくともネットワークHITOの関連施設に就職してそのまま働き続ける事は不可能です。
ネットワークHITOはあくまでボランティア団体なので、赴任教師を雇用するわけではありません。
また、特定の人のみが日本語教師としてずっと学校に在籍し、働いてもらうというのでは、日本語教師として赴任したいその他の多くの人が機会を失う事になり、ネットワークHITOの本来の趣旨に反します。
ただし、赴任してからの状況によっては相互の話し合いによって期間を延長するケースもあります。(その場合は最長で2、3年です)
Q9:日本語は現地の言葉で教えるのですか?
A9:いいえ、現地の言葉は使いません。
日本語の授業は『直接法』といって、現地の言葉も英語などの媒介語も使わずに、日本語のみで教える方法をとっています。
『直接法』は日本語を日本語で教えるための教授法です。詳しくは専門のサイトをご覧下さい。
Q10:ネットワークHITOが活動を始めて、何年ぐらいですか?
A10:ネットワークHITOという現在の形になったのは1999年4月からですが、それ以前にも活動をしていました。ミャンマーのマンダレーにHITOセンターを設立したのは1997年6月で、ネパールのカトマンズにやさしさ日本語学校を設立したのは1997年3月です。
Q11:会員でなくてもHITOツアーに参加できますか?
A11:HITOツアーというのは厳密にはありません。我々が旅行を主催しているのではなく、一緒に旅行していただける方を探しているのです。(便宜上「ツアー」と表現していますが、旅行用語の「ツアー」ではありません)
我々と一緒に行かなくても、ネットワークHITOの主旨に賛同していただいた方が、各国のHITO施設を訪れたり、我々の企画する旅行に参加していただくのは自由です。
しかしネットワークHITOは、会員の会費または寄付・援助金も重要な運営資金となります。したがってネットワークHITOの企画する旅行に参加していただいた方は、趣旨に賛同していただくことを前提に、了解を得て会員になっていただいています。
Q12:ネットワークHITOには上位団体があるのですか?
A12:ありません。
他のボランティア組織等と提携を結んだり、協力をし合うことはあり得ますが上位団体は存在しません。
Q13:日本政府との関係は?
A13:ネットワークHITOはNGOなので日本政府とは直接は無関係です(現在NPO法人化を申請中です)。ただし現地にある日本大使館とは密接な関係を持ち、これまでにも色々な面で支援を受けています。
Q14:政治団体や宗教団体との関係は?
A14:ありません。ネットワークHITOは独立したボランティアグループであり、いかなる政治・宗教団体等とも無関係です。
Q15:YMCAとの関係は?
A15:ネットワークHITO発足当時は、大阪YMCAの会員が多数おりましたので密接な関係にありましたが、お互いに独立した組織です。しかし現在でもお互いに様々な形で提携を結ぶなど、協力関係にはあります。
Q16:大阪あるいはその近郊出身の方が多いようですが、なぜですか?
A16:ネットワークHITOが発足したのが大阪なので、大阪近郊の方が多いようです。
しかし活動の主旨からも理解いただけるように、一地方の団体ではありません。どなたでも会員になっていただく事は可能です。現在登録いただいている会員は、北は岩手県から南は沖縄県までおります。また、海外では現在、ネパールとジャカルタにも会員がおります。
Q17:日本人でなくても会員になれますか?
A17:もちろん可能です。我々の活動の趣旨に賛同いただける方であれば、人種・性別・国籍等一切を問いません。
Q18:掲示板等で時折みかける“日セミ”とは何ですか?
A18:大阪YMCAで行われている「日本語の先生になるためのセミナー」という講座の名称で、日本語の“日”と“セミナー”を縮めて“日セミ”となったのです。今までのボランティア講師はこの講座の修了生の方が多いので、時折そのお話しも出るようです。数年前までは広告や口コミなどで我々の活動を広げていたのですが、現在ではインターネットの普及等で、様々な方面からもボランティア講師に参加していただいています。
Q19:HITOセンターややさしさ日本語学校で教えている先生はボランティアですか?
A19:そうです。現地の学校から給与が出る場合もありますが(※期間によります)、その額は現地で「なんとか生活していける」程度のものです。それは現地の学校が
“日本のお金(=日本からの援助)” ではなく
“現地のお金(=現地経済の一部)”
で運営されているため、当然学校から先生に支払われる給与も、現地の学生が出した授業料が元になっているからです。しかしその分、月並みな言い方ですが“お金では買えないもの”を得る事ができます。
電力事情や通信事情など、国によって困難は異なりますが、その困難を乗り越えて指導できる、強い意志を持った方、ボランティアの意義を理解していただいている方に現地での指導をお願いしております。
Q20:日本語教師を職業として生活していくことは難しいですか?
A20:おそらく高額収入を得るのは非常に難しいだろうと思われます。現状の日本国内では日本語教師の供給過剰状態で、なかなか仕事が見つからないようです。もしネットワークHITOを通して現地に赴任し、ネパールやミャンマーで教えるなら、その経験と実績は就職活動の大きな助けとなり、今後教壇に立つ時にも大いに役立つでしょう。ただしそれは、生活できるだけの給与が継続して得られることの保証にはなりません。しかしながら、ネットワークHITOにも現在、職業として日本語教師の道を選び、きちんと生活している人もいます。結論としては、日本語教師を職業として生きていけるかどうかはあなた次第ということです。
Q21:現地の日本語コースを終えた生徒達は卒業後、就職などはどうしているのですか?
A21:日本語を専門職として別の日本語学校で教えている人もいますが、ほとんどの人は普通の会社や商店、ホテル等に勤めているようです。日本語を学ぶ事によって旅行業界や、商売の道も広がるようです。また、近年では多くの学生が日本への留学を果たしています。日本に留学する事によって、更に日本企業への就職などの道も広がるでしょう。
ネットワークHITOが活動を始めた当初は、日本へ留学する門も狭かったのですが、様々な人の努力と協力の結果、現在では毎年多数の学生が日本への留学を果たしています。
Q22:なぜ日本語?日本語を話せると現地でどんな役に立つのですか?
A22:ネットワークHITOが日本語を教え出したのは、たまたま活動開始時期のメンバーに、日本語教育を専門としていた人たちがいて、現地の人たちにも日本語に対するニーズがあったからです。
ネパール・ミャンマーそれぞれ状況は異なりますが、共に日本の企業が入っているため、現地の人には日本語を学習する事で、場合によってはそこで働くことも出来るというメリットがあります。日本の企業と現地企業では、どれくらい給与に差があるのか正確には判断はできませんが、一般の現地の会社よりは日本の企業の方が高いと思われます。また、日本語を話せるという事で様々な可能性が開けます。(Q21参照)ガイドやタクシーの仕事をしていたとしても、日本語が話せるというだけで有利に働く場合もあるでしょう。
Q23:ミャンマーやネパールといった国は危なくないのでしょうか?危険な事はありませんか?
A23:ミャンマーもネパールも現在政治的に絶対安定しているとは決して言えません。しかしながら、我々が長期に渡って現地と交流を持つ中で、現地の人たち個々人はほとんどの人が悪人ではないと考えています。これまでにも数回、現地で非常事態宣言が発令されるなど、決して安全とは言えない状況になった事もあります。そんな時も、現地の人たちの様々な協力を得て乗り越えてはこれました。しかしそれはあくまでもこれまでのお話しで、これからも必ず安全を確保できるとは言えません。ネットワークHITOとしては危険な事態に陥らない様に最大限の努力はしますが、最終的にはあくまでも自己判断・自己責任としていただく他はありまん。
Q24:ミャンマーやネパールの事をもっと教えて下さい。
A24:現在このネットワークHITOのホームページでも、ネパールやミャンマーの様々な情報を発信することを計画中です。しかしこのホームページは基本的には、国際ボランティアを行なっているネットワークHITOというグループの紹介ページなので、観光案内や現地情報なら専門のサイトの方がより詳しく載っているでしょう。御自分で検索される事をお勧めします。
定例会に参加いただければ、実際に現地に長期間住んでいたボランティア指導者などのナマの声を聞くこともできると思います。
Q25:ミーティング(定例会)には誰でも参加できるのですか?参加費等は必要ですか?
A25:基本的には誰でも参加していただいて結構です。ただし、悪意ある参加者やマナーを守れない人には退場いただくことがあるかもしれません(過去にそんなケースはありません)。日時や場所等の詳細は掲示板にてご連絡しています。前もって参加の旨をご連絡いただいた方がいいかもしれません。参加費は無料です。ミーティングに参加したからといってすぐに会員になっていただくということも当然ありません。実際にネットワークHITOの活動を見て、共感いただいて、その上で会員になっていただければ幸いです。
Q26:会員にはどんな人がいるのですか?
A26:大学生から年輩の方まで、老若男女を問わず多くの方が会員になっています。職業も主婦や大学教授、公務員や自営業、会社員と多岐に渡っていますが、この会で行なっているボランティアの性質上、教育関係者が多いかもしれません。日本語教師を目指す若者や定年退職してボランティアをする者、現地旅行の際直接学校に訪れて共感した者など、それぞれが色々な経緯でこの会を知り、賛同いただいて会員になっていただいています。
Q27:日本語教育以外に日常的に現地でしていることはありますか?
A27:現在ミャンマーでは縫製指導も行なっています。縫製指導は現地で女性の自立支援をする目的で始めましたが、現在では身体に障害をもつ方の施設や、ハンセン病と戦っている方の施設にも縫製指導に赴き、ミャンマー政府はじめ多くの方がその活動の成果を認めています。
ネパールでは現在の所、学校のスペースの問題と人的要因で、日本語教育以外のボランティアを日常的には行なっていません。
しかしいずれにせよ、ミャンマー・ネパール共に、長期間に渡ってネットワークHITOが活動を続けてきたので、現地の人たちからもあつい信頼を得て、日本文化センターとしての役割を充分に果たしています。
Q28:縫製指導のボランティアには参加できるのでしょうか?
A28:縫製指導はボランティアとして長期滞在している日本人が一人います。日本語指導は現在の所、期間を区切っての契約になっていますが、縫製指導は色々な理由から、現在は長期滞在をしていただいています。ネットワークHITOとしてもその後継者の養成、人材育成にも力を入れています。もし縫製指導のボランティアをご希望されるなら、ネットワークHITOまでご連絡ください。条件等が合いましたら面談の上で派遣も検討します。
Q29:ボランティアで現地に派遣される人はどれぐらいの期間現地に行く事になるのですか?
A29:現地の学校の状況にも左右されますが、現時点では通常は半年又は一年でネットワークHITOと契約して現地学校に赴任する事になります。状況によってはボランティア日本語講師・現地学校・ネットワークHITOの相互の話し合いによって延長するケースもありますが、その場合でも最長で2〜3年です。
Q30:ボランティアはいつ募集されるのですか?
A30:通常は現地の学校の学期に合わせての募集となるため、春または秋ごろに募集する事が多いと思いますが、必ずしもその時期に募集があるとは言えません。現地の学校の状況によってかなり流動的に募集する事になります。もし募集に確実に応募したいなら会員になって機関紙『HITO通信』から情報を得るか、こまめに当ホームページをご確認ください。メール等でお知らせするケースもありますが、これも決してお約束はできません。